先祖調査12 ~昭和28年祖父母の謎の行動~

  さて、最初のころにちょいと書いたことがあるのだが、古い戸籍を見て気付いたことの一つに、馬場姓の祖父と、森元姓の祖母は、昭和28年に離婚し、1ヶ月後に再婚するという謎の行動をしている。このとき、祖母の籍に入り直しており、馬場姓から森元姓になっている。どう見ても、姓を変更する為の行為としか考えられない。なぜ姓を変更する必要があったのか?永らく謎だったのであるが、ついにその謎を知るすることが出来た。少し前に伯父(父の弟)が亡くなり、手を合わせに行ったのであるが、その時に奥さんから教えて頂いたのである。

「そう言えば、爺さん婆さんは、或る時に馬場姓から森元姓になってるみたいなんですけど、知ってますか?」

「ああ、もちろん知ってんで。昔に爺さんから直接聞いたわ。その理由はなぁ、、、」

やばい、理由を教えてくれそうだ。あえて苗字を変えるなんて、ロクな理由であるはずがない。例えば身内から重犯罪者が出たとか。だが、それも我が森元家の歴史なのだ。全て受け止めるしかない。私は聞く覚悟を決めた。

「大阪ではババっていう苗字やったら子供がウンコって言われていじめられるやろ。せやから森元に変えてんやって。」

そういうことだったのか!確かに大阪ではババはウンコなのである。目からウロコが落ちた。思い起こせば、小学生のころは、ジャイアント馬場でさえ、「大きいウンコ」扱いされていた記憶がある。大きな謎が解明されたが、腑に落ちないところもある。昭和28年なら父は15歳、一番上の兄は25歳になっている。周りの人たちも馬場君をウンコ呼ばわりしていじめるような歳でもなかろうに。突然姓が変わる弊害の方が大きいのではないだろうか。その時、私はふと思った。もしかしたら、祖父母は我々孫衆のことを考えてくれたのではなかろうか。そうか!爺さん婆さん!あなた方が姓を変更するという大決断をして下さったお陰で!私は!!ウンコ扱いされずに済みました!!!祖母は私が1歳のころ、祖父は5歳のころに亡くなっているので、殆ど記憶が無い。だが、私はこの時、確実に祖父母の優しさと懐の深さに触れることが出来た。

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昭和28年 祖父母偽装工作中(笑)

 ところで、なぜそれが昭和28年だったのか?祖父母は昭和初期に鹿児島から大阪に移住している。そして5人の息子(=私の父兄弟)は、皆大阪で生まれている。その時にそうすればよかろうに。だが、その時は、本籍は鹿児島のままで、姓も馬場のままである。恐らくは、その時は大阪に定住するつもりは無く、せいぜい数年の出稼ぎ程度のつもりであり、従って本籍も姓もそのままだったのではないだろうか。事実、大阪への空襲が激しくなると、息子達を先に鹿児島の親族に預け、ほどなくして祖父母も鹿児島に戻った。祖父は馬場家の長男だったので、家を継ぐつもりだったのだろうが、昭和24年に、祖父の父(即ち私の曽祖父)の彦太郎が亡くなると、その後、馬場家を継いだのは長男の祖父ではなく、その妹であった。何があったのかは分からない。だが、それで祖父は昭和28年に再び鹿児島を離れて、大阪に移る決心をした。今度は骨を埋めるつもりで。本籍も大阪に移し、子孫の事を想い、姓を森元に変えたのである。

 まぁ、叔母の話と戸籍の変遷から、私が勝手に推測したことである。いずれにせよ、祖父母の残した功績は事実であり、後世まで語り継がれるべきものなのである!