先祖調査7 ~ファーストコンタクト~

 よく見てみると、明治初期の居住地は「鹿児島県~~村○○○番戸」であるが、次の戸籍では「××××番地」である。これは、戸籍調査でよく遭遇する番地番戸問題である。戸籍を作成した目的は、地租を確実に徴収することであったが、それには村人の居住地を明確にする必要がある。そこで明治政府は、各家に番号を割り振ることとしたのである。これが「番戸」である。地域によっては、「番屋敷」と表記することもある。だが、その後、土地台帳を作成するにあたり、各家ではなく、各土地に対して番号を割り振ることで居住地を表すこととなった。これが「番地」である。従って、○○○番戸と××××番地は、リンクしない無関係の数字であり、同じ家なのか、引っ越したのかが全く分からないのである。もうここまでくると、土地台帳(※1)などを調べないと関連が分からないのである。

 

 それはさておき、とにかく我が本家の連絡先を知ってしまった。もしかしたら墓参り出来るかもしれない。どうしよう。電話してみるか?極度の人見知り人間である私は1ヶ月程度苦悩した。散々迷った挙句、突然スイッチが入り、或る日電話してしまったのである。突然電話を掛けてきて、遠い親族だけど、先祖の墓参りをしたいとか、、、。完全にオレオレ詐欺である。その証拠にほら、電話口のお婆さんがめちゃくちゃ不審そうにされているではないか。まずい、このままでは切られてしまう。私はとっさに祖母・祖父の名前を口にした。するとなんということか、その方は遥か昔にまだ鹿児島にいた頃の祖父母のことを知っているようで、一気に警戒心を解いて下さった。そして嬉しそうに言ってくれた。

「あ~、あんたはあん人らのお孫さんね~」

「はい、実はそうなんですよ」

「お二人とも元気にしてますか?」

「いや~二人共に45年くらい前に亡くなってますよ~」

「あらぁ~、、、そうなの?確か子供は、男の子ばかり、5人ほどいたかねぇ」

疎開で来ていた父達のことである!四男が父だ。幼き頃の父を知っている人がいるなんて。

「今度、先祖の墓参りに行っていいですか?」

「もちろんいいですよ、いつでも来て下さい」

ファミリーヒストリーみたいになってきた!ご先祖様、会いに行けそうです!

 

※1)土地台帳とは、その土地の成り立ちや変遷をまとめたもので、地方法務局で管理されている。戸籍は直系者しか取得出来ないが、土地台帳は申請すれば誰でも取得出来るのである。手続きは若干面倒ではあるが、土地台帳には先祖に関する情報が沢山記載されているので、マストアイテムである。例えば、土地台帳は明治20年頃に作成されたのであるが、その時の土地所有者が記載されている。この時点でその土地を所有していたということは、かなりの確率で江戸時代からの所有者であり、即ち江戸時代からの住人であろう(もちろん断定は出来ないけど)。また、土地台帳には戸籍にも記載されないような、その土地の小字が記載されているのである。小字とは、昔からのその土地付近のごく狭いエリアの地区名称のようなものであり、その土地の歴史に因んだ名称であることが多いのであるが、私はこの土地台帳から重要な情報を得た。詳細は書けないが、なんとこの地の小字名は、江戸時代の我が先祖の名前に由来するものであった。もうこれは、我が本家は少なくとも江戸時代から移住する無く、今もこの地に住んでいると判断してよいであろう!

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土地台帳に付属する明治20年ごろの地図も請求出来る。ここにも小字が記載されている。